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大学卒業後の在留資格(ビザ)

更新日:7月3日


日本国内の大学に留学した後、就職や起業、研究のため引き続き日本に滞在する場合、それまでの「留学」ビザを変更しなければなりません。大学卒業後の進路により、申請するべき在留資格は変わってきますので、留学ビザの期限前までに計画的にビザの申請を行いましょう。



1.日本国内の企業に就職する場合



大学卒業後、日本国内の企業に就職する場合で、すでに入社予定の企業から内定を通知されている場合は、就職先での業務内容や卒業と入社の時期により、「技術・人文知識・国際業務」ビザ又は「特定活動」ビザの許可を受けることが考えられます。


卒業後にすぐ入社する場合


3月31日に卒業して4月1日に入社する場合のように、内定先の企業に卒業してすぐに入社する場合は、留学ビザから就労ビザへ直接変更することができます。


大学での専門知識を生かして働くとき


大学で専攻した学部・学科等と関連性のある業務内容の職種に就く場合(経営学科卒業後に内定先の経営企画部に配属される場合など)は、技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザの許可を受けることができます。技人国ビザは、3カ月、1年、3年、5年のいずれかの在留期間となり、基本的には初回の許可時には1年間の在留期間を許可されます。更新にあたって通算年数の制限はなく、配偶者や子どもなどの家族を日本に呼び寄せて同居することも可能です。


IT系の資格を生かして働くとき


システムエンジニアやプログラマー、フロントエンジニア、企業のITインフラ部門など、IT系の職種に就職する場合で、基本情報技術者や応用情報技術者、情報ストラテジストなどのIT系の資格を取得している場合は、在学中の専攻科目等を問わず、技人国ビザの許可を受けることができます中国、フィリピン、ベトナム、タイ、ミャンマー、台湾、マレーシア、モンゴル、バングラデシュ、シンガポールにおけるこれらに相当するIT系の資格も一部指定されている資格があります。


該当する資格の一覧は、下記から確認できます。


語学講師として働くとき


母国語の語学講師として働く場合は、在学中の専攻科目等を問わず、技人国ビザの許可を受けることができます。この場合は、企業内での語学講師等でも技人国ビザの申請が可能です。


大学での専攻と異なる職種に就くとき


専攻した学部等と関連性のない業務内容であるときや、接客や現場業務など、専門知識を必要としない職種に就く場合をはじめとして、技人国ビザの対象とならない職種に就職するときは、「特定活動告示第46号」というビザの許可を受けることが考えられます。


この場合は、日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を取得しているか、又は大学で日本語を専攻していることが必要です。なお特定活動ビザによるときは、技能実習生への指導業務や、外国人への接客業務など、母国と日本語の翻訳・通訳業務が業務内容に含まれることが必要となります。


卒業から入社までに待機期間がある場合


秋卒業の大学である場合や、海外に留学して卒業時期が遅れた場合など、9月30日に卒業して、翌年の4月1日に入社する場合をはじめ、卒業から入社までに待期期間がある場合は、留学ビザから就労ビザに直接変更することはできず、一旦、「特定活動」という別の在留資格に変更する必要があります。この場合は、内定から1年以内かつ卒業から1年6ヵ月以内に入社することが条件となります。


なお資格外活動許可を受けた場合は、1週間に28時間以内でアルバイト等をすることができます。


2.卒業後も就職活動を行う場合


大学卒業時に内定先が決まっていない場合など、卒業後も引き続き就職活動を行う場合には、留学ビザから「特定活動」というビザに変更する必要があります。この場合は、在学中から就職活動を行っており、卒業後も引き続きこの就職活動を継続する予定であることが条件となります。就職活動ビザでの在留期間は、基本的には6ヶ月の在留期間が許可されるケースが多いようです。


なおこの場合も、資格外活動許可を受けた場合は、1週間に28時間以内でアルバイト等をすることができます。


3.日本国内で起業する場合



卒業後にすぐ起業する場合


大学卒業後にすぐ起業するという場合には、留学ビザから「経営・管理」ビザに変更することができます。経営・管理ビザの許可を受ける場合は、事業の規模については、常勤の職員が2名以上いるか、または資本金等が500万円以上であることが必要となり、事業所が国内に確保されていることが必要となります。


必ずしも会社の設立登記や事業所の賃貸借契約の締結を完了している必要はなく、これらの準備が申請までに完了していない場合には、設立しようとしている会社の登記簿や入居を検討している物件の説明資料などを用意することとなります。会社設立前に経営・管理ビザの許可を受けた場合は、4ヶ月の在留期間が許可されますので、原則としてこの期間内に設立を完了しなければなりません。


卒業から起業までに準備期間がある場合


日本国内の大学や大学院を卒業後に、一定の起業のための準備期間を経て起業するという場合、その準備期間中も引き続き日本に滞在するためには、まずは「留学」の在留資格から、こうした起業準備が認められる在留資格へ変更する必要があります。この場合、「特定活動」というビザが必要です。資格外活動許可を受けた場合は、1週間に28時間以内でアルバイト等をすることができます。


特定活動」へ変更するためには、卒業した大学による起業支援のための措置が取られていることの他、以下の要件を満たす必要があります。


  1. 「留学」の在留資格で日本国内の大学又は大学院に留学し、卒業又は卒業見込みであること

  2. 在学中の成績及び素行に問題がないこと

  3. 在学中から起業活動を開始しており、大学が推薦する者であること

  4. 卒業後6ヶ月以内に起業する予定であること

  5. 事業計画書が作成されていること

  6. 滞在中の一切の経費を支払う能力があること


4.大学院に進学する場合



大学卒業とともに大学院に進学する場合


たとえば3月31日に大学を卒業して、4月1日に大学院に進学する場合などは、引き続き留学ビザで日本国内に滞在することができます。ビザが大学卒業とともに失効する場合には、留学ビザの更新を行う必要があります。ビザの有効期限内に進学する場合には、「所属機関等に関する届出」を入管に提出しなければなりません。


卒業から大学院への進学までに待機期間がある場合


大学院への入学までに待期期間がある場合には、一旦、留学ビザから特定活動」というビザに変更することが必要です。この場合、大学院への進学が内定していることと、大学卒業後1年以内に大学院に進学することが条件となります。資格外活動許可を受けた場合は、1週間に28時間以内でアルバイト等をすることができます。


5.大学で教授職や研究職に就く場合


大学や大学院を卒業して大学や専門学校、あるいは国立天文台などで教授職や研究職に就くという場合は、「教授」ビザに変更することが必要となります。教授ビザの場合、在留期間は5年、3年、1年又は3ヶ月のいずれかが許可され、家族の帯同も可能です。「教授」や「助教授」、「非常勤講師」など、学内でのポストについては、それにより生計を維持することができる収入があれば教授ビザにおいて特に制限は課されていません。なお大学法人等ではなく民間企業の研究所等で研究に従事するという場合には、「技術・人文知識・国際業務」ビザや「研究」ビザを検討することとなります。


6.日本人と結婚した場合


在学中に日本人と結婚した場合は、配偶者ビザに変更することができます。この場合、日本と母国の両方で婚姻が法的に成立していることが必要です。


配偶者ビザにより許可される在留期間は、6か月、1年、3年、5年のいずれかとなります。初回の申請の際には、1年の在留期間を許可されることが多く、更新の際に、身元保証人(夫婦のうちの日本人が身元保証人となります)の財産状況や結婚生活の推移、在留期間中の届出義務の履行状況などを加味して、より長期の在留期間が認められることがあります。


在留資格の変更の流れ


大学卒業にともなって留学ビザを変更する必要がある場合、以下のような流れとなります。


  1. 受入企業又は本人が直接または行政書士に依頼して、出入国在留管理庁に申請を行う

  2. 出入国在留管理庁での審査(標準的な期間:2週間~一か月)

  3. 審査に合格の場合、出入国在留管理庁で新しい在留カードの交付を受ける


変更や更新の場合、以前の在留資格が満了する日の3カ月前から申請することができ、審査が長期化した場合は、以前の在留資格が満了した日から2か月間は特例期間として以前の在留資格で滞在することができます。ただしこの期間を超えてしまった場合は、審査中でも一時帰国しなければならなくなりますので、変更や更新の申請は余裕をもって行うようにしましょう。


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